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J-文庫 書評コーナー

書評コーナー - 静岡大学 浜松キャンパス J-文庫

J-文庫の運営メンバーが、書評を載せて本を紹介するコーナーです。

 一般向けの投稿方法

hama.j.bunko☆gmail.com 宛に次の形式で投稿してください。

  • 名前(HN可)
  • 所属(任意)
  • 本のタイトル
  • 著者
  • 本のISBNコード(本を特定可能にするためです)
  • 書評(500字程度)

 J-文庫メンバー向けの投稿方法

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 その下に書いてある通り内容を埋めて投稿。(先に書評を書き終えておく必要あり)

 書評一覧


フォーマット↓→レビュアー:名前orHN(任意で所属)/本:著者名『タイトル』発行所,発行年

(書評本文)(改行はそのまま反映されます。段落間は1行空けると読みやすくなります)


レビュアー:すねお/本:吉見俊哉『大学とは何か』岩波新書,2011年

大学に来る意義を感じられなくなった時に読んだ本です。今現在当たり前に存在する大学がどのような思想と理念で生じてきたのかについて、中近世のヨーロッパと明治〜昭和の日本での大学をめぐる歴史を俯瞰しながら解説されています。特に、教師と学生の旅団が都市を渡りながら学んでいたという話はファンタスティックで憧れてしまいました。日本への大学制度の輸入とその後の学生運動に続く経営困難の話には辟易を感じながらも、「それでも自由に学びたい」という当時の学生に思いを馳せながら、自分もまた学びたくて大学に来ているだろうか、と自分に問い直すきっかけにもなりました。筆者独特の文体は文章として面白いのですが、ちょっとしたスキマ時間で読むとページが進まなかったので、半日かけて一気読みするのがよいでしょう。

レビュアー:みのり/本:鈴木信一『800字を書く力』祥伝社,2008年

キーワードは「書くと書ける」です。
本書は、私が生成したヘタクソなレポートを先生に添削してもらい「ここもここもダメ」とダメダメ攻撃を食らって落ち込んでいたときに見つけて読みました。
本書を読み終わったあとにレポートを書き直したところ、格段に文章を書くのがうまくなりました…!というようなことは全然なく、相変わらずヘタクソな文章だなぁって感じでしたが、「書くと書ける」の意味はよくわかりました。そしてこれからも挫けずにがんばってレポートや論文に取り組んでいこうと思いました。
本書を読んだからといって別段文章はうまくなりません(笑)
それでも少なくとも800字は書けるようになるし、読む価値のある本だと思います。

レビュアー:よしだ/本:山下裕介/金井利之『地方創成の正体 なぜ地域政策は失敗するのか』筑摩書房(ちくま新書),2015年

「地方創成」は、「地方はこのままでは消滅する」と地方を脅し、予言の自己成就のように、その政策を受け入れた地方をじっさいに消滅させるだろう。そんな批判的な見方を提示する、地域社会と地域行政に詳しい社会学者(山下)と行政学者(金井)の興味深い対談。気鋭の論者が、学問背景と自分の研究を踏まえてわかりやすく、個性ある議論を展開するという「ちくま新書」のコンセプトにピッタリである。対談を通じて、国や行政(ないし、東京的)のシステムがその本性に従って自己保存的な行動をすることで、必然的に地方の住民が切り捨てられるメカニズムが指摘される。復興や地域行政の実情に通じた両者の見識には説得力がある。
他方で、山下の議論には問題を「権力」と「善意/悪意」の結果として還元的に理解しようとする素朴さが(プロセスを重視する金井より)、金井の議論には近代的な権力分配のしくみへの過重な評価が(山村地域での実感についての山下の指摘より)気になった。また、ではどうすればよいのか? については、個々の住民や地域・国の為政者にそっくり課題として残されている感じで、この問題の困難と面白さの両方を強く感じさせられた。
ともあれ、この課題に関する重要な知見に満ちたよい対談でしたので、地域(と「中央」)のことが気になる人にお勧めします。

レビュアー:ゆみ/本:徳田雄洋『デジタル社会はなぜ生きにくいか』岩波書店,2009年

本書では、デジタル社会を生きる人々の日常的な風景に潜む問題点と、心構えについて語られています。デジタル社会に関する問題として、個人情報の流出や携帯電話依存症、システムの不具合による混乱など、例を挙げれば尽きません。情報技術の進歩により、私たちの生活はとても便利になりました。しかし同時に、社会が複雑化してしまったように思います。そんな社会を生きるための心構えがこの本にわかりやすくまとめられています。
本書で取り上げられている事例は共感できるものが多く読みやすかったです。あー、あるある!こんなこともあるんだ、気をつけなきゃと思いながら一気に読みました。特にSNSをめぐる会話で、SNSを通じて「仲の良い友達を見つけた」と喜ぶ人に掛けられた「その人が本当に人間かどうかさえわからない」という言葉が印象的でした。現在ではAI技術が発達し、AIを相手にある程度自然な会話が出来るようになっています。さらに研究開発が進めば、人間と遜色のない会話が出来るようになるでしょう。友達だと思っていた人が本当は実在しないかもしれないと考えると、少々恐怖を覚えます。まさに「幻の人間関係」です。
各章の扉に書かれた題辞も面白く、難しい話が苦手な人でも楽しく読める本だと思います。ぜひ一度読んでみてください。